神奈川県真鶴町の「素陶美 MOMOYO STOBY FASHION」の代表、ストービー百代さんに国連の担当者からサステナブルファッションの分野でSDGs公式パートナーシップとして認定された、というメールが届いたのが2026年5月14日。現在、国連ホームページのSDG Actions Platformに、素陶美 MOMOYO STOBY FASHIONの概要や取り組みがニューヨークのファッションウィークに出展した際の写真などとともに掲載されています。(写真・前列左から3番目が百代さん)
『信じられなかったです』とメールを手にした瞬間をにこやかな表情で振り返る百代さん。神奈川の小さな町の真鶴で、一人で手掛けている作品が国連に評価されたことに驚いたと話します。パートナーシップに認定されたことにより、今後、国連のサステナブルのロゴを使用できるようになりました。SDGsの17目標のうち、「5」(ジェンダー平等を実現しよう)、「8」(働き甲斐も経済成長も)、「11」(住み続けられるまちづくりを)、「12」(つくる責任 つかう責任) —の4つが対象になるという衣服や雑貨は、「作り手だけではなく、購入してくださった方もSDGsの協働者ということになりますよ」と紹介してくれました。
昭和の手ぬぐいやのぼり旗を一点ものの衣服やバッグに仕立てる ストービー百代さんの世界 「どんなに古い布も主役になれる」
ストービー百代さんの作品の材料は、昭和時代等の会社や店舗・団体名などが入った手ぬぐいやのぼり旗などの古い布で、バッグ制作には店のマッチ箱の図柄も取り入れます。素材収集のためにSNSで呼びかけ、メルカリなどでも探しますが、この調達が一番の課題だといいます。文字が面白い古い布も汚れがあると、柿渋染めや弁柄染めを施し手間をかけて再生します。そうして集まった味わい深いヴィンテージの布たちは、百代さんの手により、時を超えて二つとない現代的な作品に仕上がっていきます。
「作品にはそれぞれの物語があります。例えば、手ぬぐいに描かれた店名や電話番号には生活の証があります。私のデザインの多くには、日本語の文字やイラストによるユーモアがあり、それが自然と人を笑顔にします。布には生きた時間や記憶があり、どんなに古い布も主役になれます。日本の古い布や手仕事の魅力を、ファッションを通して国内外に伝えていきたいという思いから活動しています」。
英語塾から、世界に販売するファッションブランドへ 真鶴町商工会に入会し、経営指導員が販促を後押し
百代さんが、夫と息子とともにカナダから生まれ故郷の真鶴に越してきたのは21年前。子どもを対象にした英語塾を開いていましたが、新型コロナ感染症の流行により対面指導が難しくなり、経営について相談しようと2021年に地元の商工会に加入しました。そこで担当になったのが相野谷臣経営指導員でした。
百代さんはちょうどその頃、英語塾の他にも、もともと自分用に作っていたサステナブルファッションが海外旅行時に好評だったことから、「着ているおかあさんがこんなに幸せそうなのだから、他の人にも届けたらどうか」と息子に勧められ、衣服・雑貨を制作販売するファッション部門を立ち上げていました。
相野谷経営指導員は相談を受けるなかで、素陶美 MOMOYO STOBY FASHIONの強みは海外向けにあると感じたといいます。相野谷さんの伴走支援により、「生産量を上げる」「海外販路開拓」を目標にしました。2021年度に国の小規模事業者持続化補助金を受けて、それまでは家庭用ミシンしかなかった工房に、職業用ミシン、ロックミシン、トルソーマネキン、製品保管用の陳列棚などを購入しました。また、海外向けの広告も出稿することができました。一方で、家族の協力を得て、フェイスブックやインスタグラムを開設し、ホームページ(オンラインショップ)を整備しました。
北米最大規模のニューヨークナウの神奈川ブースに出展 手づくりの循環型ファッションに反響広がる
そのようななか、神奈川県が海外展示会のプロモーションの機会を提供し、北米市場での生活雑貨やファッション衣類等の販路開拓を目指す県内企業を支援していることを知ります。県が募集する「NY NOW 2025 SUMMER」に応募したところ採択され、会場内の神奈川ブースに10点の「素陶美 MOMOYO STOBY FASHION」を展示しました。作品は完売し、予約が次々に入るという想像以上の手ごたえを感じることになりました。
この展示会はBtoBの商談を中心としており、2万人を超える現地バイヤーなどが来場する北米最大規模のものです。
会場での展示販売がきっかけとなり、ニューヨークのファッションウィーク ブルックリンの関係者から声がかかり、「Fashion Week Brooklyn 2025秋、2026春」のランウェイで、デザイナー・MOMOYO STOBYのファッションを発表するという機会を得ました。その後、このときの様子(記事冒頭の写真)や作品づくりへの理念をまとめ、国連のパートナーシップ枠に申請しました。提出書類を揃えるのは英語が堪能な百代さんであっても大変だったといいます。今回の認定を受け国連のホームページに掲載されると、2026年2月に紹介した米国の雑誌「(the)MAGAZINE」が、再びそのことを記事にしました。
また、欧州の写真雑誌から撮影時の作品貸し出しの依頼がくるなど、徐々に反響は広がり、ニューヨークのラップシンガーとのコラボレーションやカナダの大学生からサステナブルファッション研究における連携協力の依頼もありました。
将来、地元の女性たちのショートワークの場に
現在、百代さんのオンラインショップに入る注文はシンガポールやアメリカ、カナダなど7割が海外からになります。一つひとつが手づくり品で制作に時間がかかるため、所属する商工会女性部の部長に手伝ってもらうことも。神奈川県で唯一の過疎地域である真鶴町。事業が順調に進んでいけば、「古布に知識がある高齢者や女性とともに衣服を作ることで、ショートワークの機会を設け、地域活性化へ貢献していきたい」と夢を抱きます。
■素陶美 MOMOYO STOBY FASHIONのホームページ
https://ja.momoyostoby.com/
電話080・2012・1486
■真鶴町商工会/神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1875-6
電話0465・68・0033


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